#49 巨額の仮想通貨を保有の国会議員に韓国騒然。なぜ?いいのか?どうやって?

対訳

巨額の仮想資産(暗号貨幣)投機疑惑を受けている金南局・共に民主党議員が、少なくとも4つの仮想資産ウォレット(口座)に最大値の時点で評価額100億ウォンを超える仮想資産を保有していたと、5月12日、確認された。この中には仮想資産取引所や発行会社が無償で提供する「エアドロップ」方式で得た仮想資産もあることが分かった。

거액의 가상자산(암호화폐) 투기 의혹을 받는 김남국 더불어민주당 의원이 적어도 4개의 가상자산 지갑(계좌)에 고점 기준으로 평가액 100억원이 넘는 가상자산을 보유했던 것으로 12일 확인됐다. 이 가운데는 가상자산 거래소나 발행회사가 무상으로 제공하는 ‘에어드롭’ 방식으로 얻은 가상자산도 있는 것으로 알려졌다.

エアドロップとは、仮想資産の取引所や発行会社が、特定の仮想資産を持つ人に、保有比率に応じて新規仮想資産を無償で与えることを言う。普通、新規仮想資産を上場させるとき、イベント的に提供する。ある仮想資産業界の関係者は「イベント性のエアドロップなら問題にはならないが、金議員のウォレットであることを知って提供したなら、贈賄でしかない。規模と背景などを調べる必要がある」と述べた。

에어드롭이란 가상자산 거래소나 발행회사가 특정 가상자산을 지닌 사람에게 보유 비율에 따라 신규 가상자산을 무상으로 주는 걸 말한다. 보통 신규 코인을 상장할 때 이벤트성으로 제공한다. 한 코인업계 관계자는 “이벤트성 에어드롭이면 문제 될 게 없지만, 김 의원의 지갑인 줄 알고 쏴줬다면 뇌물일 수밖에 없다. 규모와 배경 등을 살펴야 한다”고 말했다.

https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1091580.html

金南局・共に民主党議員が5月14日に離党を宣言し、党レベルの真相調査と倫理監察も事実上中断した。金議員が国会常任委員会の途中に仮想資産を取引していた疑惑、仮想資産保有についての小出しの弁明、利害関係の問題などは依然としてきちんと究明されていない。党内では「離党はトカゲのしっぽ切り」という批判が起きた。一角では、倫理監察の途中に離党した金議員を除名すべきだという主張も出ている。

김남국 더불어민주당 의원이 14일 탈당을 선언하면서 당 차원의 진상조사와 윤리감찰도 사실상 중단됐다. 김 의원의 국회 상임위원회 도중 가상자산 거래 의혹, 가상자산 보유에 대한 찔끔찔끔 해명 논란, 이해충돌 논란 등은 여전히 제대로 규명되지 않았다. 당내에서는 ‘탈당은 꼬리 자르기’라는 비판이 일었다. 일각에서는 윤리감찰 도중에 탈당한 김 의원을 제명해야 한다는 주장도 나온다.

https://www.khan.co.kr/politics/assembly/article/202305141448001

金議員は仮想資産に投資する上で、利害関係者に便宜を図った疑いも持たれた。仮想資産の所得課税を1年後に遅らせる所得税法改正案を共同発議し、大統領選挙直前の昨年2月には、非代替性トークン(NFT)技術を活用した「李在明ファンド」を企画して発表した。金議員はメディアの関連報道が出るたびに、少しずつ弁明して疑惑を増大させてきた。

김 의원은 가상자산에 투자하면서 이해충돌 논란에도 휩싸였다. 가상자산 소득 과세를 1년 후로 미루는 소득세법 개정안에 공동 발의하고, 대선 직전인 지난 2월 대체불가토큰(NFT) 기술을 활용한 ‘이재명 펀드’를 기획하고 출시했다. 김 의원은 언론에 관련 의혹이 보도될 때마다 조금씩 해명하면서 의혹을 키웠다.

https://www.khan.co.kr/politics/assembly/article/202305141725011

ちょっと解説

韓国は「仮想通貨大国」

韓国に行くと日本よりもカジュアルに、身近な人たちが仮想通貨(暗号資産)の取引をしていることに驚かされます。特に20~30代の人気は高く、会社員の30%以上が仮想通貨に投資している、大学生の4分の1が仮想通貨の投資をしているなどの調査もあり、2017年には韓国の株式市場の1日の取引額を超えたこともあります。もちろん巨額の富を得るのは容易ではありません。(詳細はこちらを参照)

住宅価格の高騰で「まじめに働くより一攫千金」の風潮が広がっていることも一因ですが、「まじめに働く若者」の味方を自任してきた野党・共に民主党に、こんな仮想通貨長者がいたことに、韓国では「そもそも国会議員が仮想通貨で儲けていいのか?」「便宜供与を受けた可能性はないのか?」と大騒ぎになっています。

これがビットコインのような、誰もが知っている仮想通貨だったらまだしも、金議員は「キムチコイン」と呼ばれる、韓国で生まれた仮想通貨を、取引所への上場前に莫大な量を投資していました(たとえば韓国のゲーム内通貨「ウィーミックス」という仮想通貨の保有量が世界7位だったという報道が出ています)。基本的に「キムチコイン」はハイリスク・ハイリターンですが、それに10億ウォン単位の投資をしていたなど、信じられない取引が次々に明るみに出ています。

金議員は5月14日に突然、離党を表明しましたが、今後は検察も捜査に乗り出すものとみられます。疑惑の解明にはまだ時間がかかりそうです。

金南局議員、どんな人?

金南局議員は弁護士出身の野党・共に民主党の国会議員で、40歳の当選1期目。若手議員ながら弁が立って討論にめっぽう強く、メディアへの出演も多いため、李在明代表を支える「親明系」の議員として頭角を現しています。

尹錫悦大統領の肝いり人事だった韓東勲・法務部長官の人事聴聞会(2022年5月)では、韓氏の娘が執筆した論文の共同著者に「李某(이모)教授」とあったのを「伯母(이모)が論文を書いたのか」と攻撃して笑いものになるなど、多少抜けたところもありますが、そんなピンチも平然と乗り切ってきた人でした。

しかし、そんな重要な国会聴聞会の合間にも仮想通貨の取引をしていたことが明るみに出て、金議員は最大のピンチに立たされています。共に民主党は、党代表選挙に絡んで党所属の国会議員に現金を配った疑惑で揺れていましたが、金議員の仮想通貨問題で、そんな疑惑もすっかり吹き飛んでしまった感があります。

国会議員経験がなく(京畿道城南市長→京畿道知事)、党内基盤の弱い李代表は、当選回数の少ない若手議員に支えられています。この李代表を支える当選1回議員の集まり「チョロム会」の急先鋒だったのが金南局議員です。

共に民主党は大きく分けて、文在寅・前大統領に近い「親文系」→「非明系」と、李代表を支持する「親明系」の派閥があり、両者の関係は険悪ですが、李代表には「犬娘」(갯딸)と呼ばれる熱烈強硬支持層がいて、「非明系」を「スイカ」(수박、表面と中身の色が違うので「奴らは真の進歩ではない」という罵倒に使う)と呼んで猛烈に攻撃しています。携帯電話のSMSで莫大な数の非難メッセージを送ったり、議員事務所や自宅の前に非難の壁新聞を貼り付けたりと、何やら中国の文化大革命を思わせる行動で、党内の権力闘争を繰り広げています。この갯딸と近いのが金南局議員で、彼らの行動を背に、党内の主導権を握ろうとしているとみられていました。

今回の疑惑を受けても、党員のオンラインコミュニティーでは「金議員を守れ」という書き込みが殺到しており、最大野党の混乱はまだまだ続きそうです。

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