セウォル号沈没事故を描いた映画

2014年4月16日、全羅南道の珍島沖で、修学旅行中の高校生らを乗せた旅客船「セウォル号」が沈没。304人が死亡、行方不明となった事故から、6年が経ちました。

自室に待機するよう命じられて命を失った多数の高校生を置いて、真っ先に逃げようとした船長の姿勢や、救助に当たった海洋警察の失態、船舶所有会社と新興宗教の不透明な関係、「全員救出」という誤報を流したメディア、そして当時の朴槿恵政権の対応の遅さと政治的圧力など、事故は数々の問題点を浮き彫りにし、2017年の政権交代の伏線ともなりました。

この事故を巡っては、数々のドキュメンタリー映画が作られています。最近になって商業映画にも登場するようになりました。その中から代表的なものをご紹介します。

娯楽映画

君の誕生日(原題’생일’ 2019)

セウォル号事故の遺族を正面からストーリーとして描いた映画。事故で長男スホを亡くし、離婚の危機や経済的な困難に直面する遺族。そんな中、周囲の人々が、亡くなったスホの誕生会を開くことに…。

主演はソル・ギョングとチョン・ドヨン。2020年6月15日日本公開予定。

http://klockworx-asia.com/birthday/

チョ・ピロ怒りの逆襲(原題’악질경찰’ 2019)

https://www.netflix.com/jp/title/80244640

賄賂をもらい、犯罪すらいとわない悪質な警察官チョ・ピロ、金に迫られて部下キチョルに命じ、警察の押収物倉庫に盗みに入らせるが、謎の爆発事故が起きてキチョルは死んでしまう。犯人の疑いをかけられたピロは真犯人を捜す過程で、死の直前、キチョルが爆発事件の証拠となる動画を、交際相手の女子高校生ミナに送っていたことを知る。このミナが、セウォル号事故に絡むトラウマに苦しんでいる、という設定。

ストーリーの一部ながら、セウォル号事故を商業映画として扱った初めての作品。日本ではNetFlixで公開されています。

ドキュメンタリー

不在の記憶(2019)

事故当時の監視カメラや乗船者たちの携帯メッセージ、そして現場で救助に当たった潜水士たちの証言を通じ、「国家の役割の不在」を描き出したドキュメンタリー。

ポン・ジュノ監督の映画「パラサイト」が4部門を受賞したことで話題を集めた第92回アカデミー賞の、短編ドキュメンタリー部門にノミネートしたことでも話題になりました。

ダイビング・ベル セウォル号の真実(2016)

元MBCで「告発ニュース」主宰のイ・サンホ記者と、アン・ヘリョン監督の共同作品。現場での水難者捜索が難航する中、潜水士がより長く海中に潜れるという潜水鐘(ダイビング・ベル)の所有者が現場に駆けつけるが、売名行為との批判を受け救助活動に加われない。作品は、所有者の行動を支持するイ・サンホ記者が、ダイビング・ベルを投入しなかった理由は海洋警察の失態を隠すためだったと主張、メディアの報道姿勢なども指摘した作品。

釜山国際映画祭に招待されたものの、釜山市長が上映中止を要求するなど、当時の朴槿恵政権に近い側からの批判が噴出。映画祭は上映に踏み切ったものの、映画祭組織委員長が更迭され、映画振興委員会による翌年の映画祭の支援予算が半額近くに減らされたことも「政治的報復」と話題を呼びました。

続編として、この釜山国際映画祭の上映を巡る混乱から、2017年の朴槿恵大統領罷免に至る後日談を描いた「ダイビング・ベルその後」(2018)があります。

その日、その海(原題’그날, 바다’ 2018)

2011年に大人気だったPodcast「ナヌンコムスダ」出身のジャーナリスト、キム・オジュンとチョン・ジヨン監督による真相究明プロジェクト。セウォル号沈没当時のデータや記録画像に不審な点が多いとみた2人は、事故原因にとある仮説を打ち立てて究明に挑みます。

続編として、「幽霊船」(2020)が制作されました。国会に提出された船舶運航データを分析した結果、現場の航路には存在しないスウェーデン船籍の船が航海しており、付近の海域にあった1000隻の運航データが改ざんされたという主張を展開します。

나쁜 나라 (2015)

UPSIDE DOWN (2016)

といった作品もあります。

1件のコメント

  1. ちょうどダイビングベルを観ているところでした。他にもいろいろあるんですね。紹介ありがとうございます。

    毎週楽しみに聴いています。どうぞ、お体に気をつけて^_^

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